白煙がちょいちょい出るようになり大事になる前にとオーバーホールのご依頼をいただきました。
他所のお店で組んであるエンジンで中身はノーマル仕様の物を綺麗に組み直してあるエンジンだったようです。
吸排気ポートの様子です。
排気側は真っ黒、オイルもだいぶ燃えているようです。
ポートは頑張ってそこそこやってあるようです。
ガイドが打ち替えてあるみたいです。
ちょっと嫌な予感がしました…
バーニャが入っているのでバラす前にバルタイの測定を。
結構ぶっ飛んだ度数でした…
バーニャもずれたんだかわざとなんだかわかりませんがマックス振り切ってます。
カムは社外のものが入っていましたがビンビンなカムではなかったので無事だったんでしょう。
多分1コマずれてベルト組んじゃってバーニャで帳尻合わせたって感じだと思います。
ヘッドはぐってみてがっかり…
まずは6枚重ねのMLSガスケットが使われていました。
面研しまくって最後の一絞りでMLS使うのは全然アリだと思うのですが綺麗にオーバボールしたエンジンをオーナーさんは買ったみたいなので全力で騙しにきてる感じですよ。
もう面研代無いっちゅうに。
続いてバルブガイドの他にもバルブシートまで打ち変えられてました。
4番燃焼室に何かが暴れた跡が…
つまり一回ブローしたエンジンだってことです。
それを頑張って直したんでしょう。
しまいにはバルブクリアランスミスってバルブ閉まりきってないし。
ほんと全力できてんなぁ…
最後のはしょうがないっちゃしょうがないんですが巣が入りまくってるヘッドでした。
18Kのヘッドは出来が悪いのは有名な話ですが
割とVHPDヘッドによく見られる気がします。
気を取り直して腰下へ。
今回のメインはピストンとライナーの交換です。
入っているピストンは大っ嫌いなオ○ガ。
ガンガンバラします。
ライナーも引っこ抜きます。
マニュアルには「ハンドプレッシャーで抜け」とあります。
初めてバラした時はなんつうエンジンじゃと思いましたが今となっては楽でありがたい。
ライナーは液ガス塗って組むんですが白い液ガスが使われていました。
条件反射で白の液ガス見ると体が痒くなるようになってしまいました。
決してピットワークが悪いとかではないのですが…
ピストンとの当たりも結構いってる感じですね。
スカッフもそこそこ入ってますし。
とは言え、クロスハッチもそこそこ残っている程度であんなに白煙が出るか?正直もっと酷い状態だと思ってました。
腑に落ちないのでボアゲージで測ってみました。
80.6mm
は?
小数点以下一桁間違っちゃったんでしょうか。
80.06ならわからんでもないですが、クロスハッチも綺麗に残ってるんで最初からこうだったんでしょう。
当然ながらピストンリングの合口もガバガバでした。
どっから見つけてくんだよこんなもん。
悪いことばかりではなくノーマル状態で購入されたエンジンでしたがカムはPIPER製(なぜか油タペ用)、コンロッドはQEDH断面(なぜかターボ用)のお宝が入っていすました。
いってこいには遠く及ばず。
やるなぁ、あの店。
諸々事情をオーナーさんにお伝えして今後の仕様を決めていきます。
パワーよりはライフとの事でしたので出来る限り頑張ります。
メタル合わせしますがクランクもリミットギリなんすよねぇ…
18Kはヘッドもさることながらブロックも精度良くありません。
ちゃんとしたエンジンならしっかりメタル合わせしたクランクはブロックに組んだ状態で手で回せますが18Kはそうはなりません。
なのでうちではクリアランスはほんの少し大きめで合わせています。
ライナーはダクタイルにしました。
普通のネズミ鋼を使う勇気はありません。
QEDとエリパーにダクタイルは売っています。
エリパーの方が値段は高いのですがあの有名なウエストウッド社製で作ってもらいました!って書いてあったので。
知らんがなって思いましたがノーブランドのQEDよりはマシかなと思いこちらを選んでいます。
ボアサイズはちゃんとグレードBのサイズでした。
ピストンはほんのちょびっと圧縮が上がるかなぁぐらいのものです。
ターボ用コンロッドは再使用。
10000回転してもちぎれないと思います。
締めにバルブタイミングを取ります。
今回は常識的範囲のバルブタイミングにします。
1コマずれも直しておきました。
やれやれです。
マップも変わってくるのでロードマッピングで書き直し。
慣らしはオーナーさんにやってもらうのでちゃんとしたセッティングは慣らし後ですね。
基本的に慣らしはそんなに必要ない派なんですが古臭い設計のエンジンなんでそれなりに慣らしはやったほうがいいと思います。
うちでは何キロ慣らしをやるかはオーナーさんの気のすむまでとお伝えしております。
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