このところ足回りのセットアップについてのご質問をいくつかいただきまして。
根本的に理解されてないと申しますか、都市伝説的な間違った常識が根強く広まってるのかなと思いまして。
理解できればちゃんとした答えに近づくことができると思いますのでご参考になればと思います。
車の全ての動きは物理ですので全て計算で出ます。
要は算数なので出てくる答えはたった一つです。
先ずは荷重移動。
ブレーキング時、リヤのタイヤにかかっている荷重が減り、その減った分がフロントのタイヤに移動するってやつです。
タイヤ4輪にかかっている荷重の合計はその車の車重です。
ブレーキング時減ったリヤの荷重、増えたフロントの荷重、全て足せば車重になる。
常に4輪の荷重を足せば車重になりどこかが減ればどこかが増え荷重が移動しているように見えるので荷重移動と言います。
ただ、縁石踏んだ時などにタイヤが浮いちゃったりしたらどうなんでしょう?
4輪とも浮いちゃったらどうなるんでしょう?
荷重移動の定義が成り立たなくなります。
つまり、荷重は移動なんかしてないんす。
普通に走っていればコーナリング中などに内側の減った荷重分外側の荷重が増えるのは確かなので便宜上荷重移動って言葉を使ってるんだと思います。
ほんとは車の重心点にかかる慣性力が正しいのかと。
この増減する荷重は計算で簡単に出せます。
小学生でも解けるかと。
荷重移動=車重×加速度×重心高/ホイールベース
これだけで直線上での減速、加速時の荷重移動が出せます。
横方向の荷重移動はホイールベースがトレッドに変わるだけです。
ただ、横方向だとロールした時のジオメトリーで重心高、ロールセンター高が変わるのでちょっと複雑なお話になるのですが。
要は何が言いたいかと言うと前後の車高バランスとかでタイヤにかかる荷重は変わらんと言うことです。
前下がりだからタイヤが潰れやすいってのは違います。
メカは頑張って車の軽量化、重量物はなるべく低くするんです。
すると、さっきの荷重移動の計算式に当てはめて同じ荷重移動量を出そうとすると加速度を上げることができるんです。
つまり、もっと強くブレーキをかけることができるようになるので奥まで突っ込めるんです。
ただ、タイヤを潰す要素として荷重移動が全てではなく空力も要素としてはありますので一概には言えませんが、フロント下げてコーナー進入が良くなったぜ〜って言ってるのはプラシーボなんじゃないかなって思います。
昔、エリーゼでリヤの車高の方がフロントより低くするセッティングをしているお店がありましたが、リヤミッドシップのエリーゼだと重心点はリヤ寄りなので空力無視するなら有りっちゃ有りだと思いました。
こんな感じの都市伝説が車界隈だと幾つもあります。
昔よく売ってたチャラい車雑誌とかのせいだと思うんですけどね。
また時間があれば都市伝説潰しできればなと思います。
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